宅建業者が自ら売主となる場合の8つの制限について

canvasこれからお話する内容はズバリ!
「宅建業者自ら売主となる場合の8つの制限」です。

非常に本試験において出題が多いですので
必ず覚えなければならないと言うことです。

 

はじめに念のため言っておきますが、この8つの制限と言うのは、宅建業者が自ら売主で、
買主が宅建業者以外の者に限られる制限です。




既に8つのうちの1つは、お話しています。
そう既にお話した「クーリング・オフ」です。
ですから、2つ目から説明していきます。

2.手付金等の保全措置

手付金とは契約日以後から物件引渡しまでの期間に支払われる
代金の全部または一部として授受される金銭および
手付金・内金・中間金等をもって授受される金銭で、
代金に充当されるものを言います。

宅建業者は、保全措置を講じたでなければ
買主から手付金等を受領してはなりません。

逆に宅建業者が保全措置を講じない場合は、
買主は手付金等を支払う必要はありません。

保全措置とは保険見たいなもので、悪徳宅建業者などが手付金等だけを
受け取って行方がわからなくなってしまったとか言う場合、
悪徳宅建業者に変わって手付金等を、返還してくれるしくみを言います。

この保全措置の方法は

◎未完成物件の場合
1.銀行等による保証
2.保険事業者による保険保証

◎完成物件の場合
上記1.2に加え、
3.指定保管機関による保管

指定保管機関は、完成物件のみ!

 

しかしながら、保全措置を講じなくてもいいケースがあります。
ここが非常に重要ですから、必ず覚えておいてください!

1.売買物件につき買主に所有権移転登記がなされたか、買主が所有権の登記をした場合

2.受領しようとする手付金等の額が、
未完成物件の場合、代金額の5%以下であり、かつ1,000万円以下である場合
完成物件の場合、代金額の10%以下であり、かつ1,000万円以下である場合

この2つのケースに当てはまれば、保全措置を講じなくても手付金等を受け取れます。

私を含め面倒くさい手続きをしないで済む方法があるのでしたら、
その方法を選択すると思いますので、よっぽどの事情がない限り
宅建業者は上記1・2の方法を(特に2)選択して
上記理由から保全措置を講じないと説明して、手付金等を受け取っています。

このため実務上もこの2つの条件を覚えておかないと話しになりませんし、
本試験においても頻繁に出題がありますので、必ず覚えてください。

最後に、例えば、売買代金が3,000万円の完成物件を契約して、
手付金を200万円受取り、
その後、中間金として250万円を受取ると言った場合、

手付金200万円は、売買代金の10%未満ですから、保全措置はいりません。
ですが、中間金250万円を受取ると手付金と合計して、450万円になります。
と言うことは、450万円受取ることは、売買代金の10%を超えることになり、
手付金等の保全措置を講じたでなければ、この中間金250万円は
受け取れないとなります。

宅建試験で、中間金250万円を受取った後、保全措置を講じるなんて、
出題されますが、×です。
保全措置を講じた後でないと受け取れません。

3.手付金の制限

ここでは、手付金だけについての制限です。
手付金等の保全措置は、手付金、中間金などすべて含んでいますから、
勘違いしないようにしてください。

民法では手付の種類は3つほどありますが、
不動産売買で手付けと言えば「解約手付」しかありません。

解約手付は民法で勉強しますが、ここで覚えてしまいましょう。

解約手付とは、契約後買主が手付金として100万円を売主に渡したとします。
買主が契約後、他のいい物件があったため、
この現契約を解除したいと考えた場合、差し出した手付金100万円を
放棄して契約を解除することができます。

逆に売主はもっと高値で買ってくれる買主が現れた等の理由で、
現契約を解除したいと考えた場合、その倍額(200万円)を返す
ことにより契約を解除できるという約束です。

つまり契約という約束ごとをした以上、売主、買主が
それぞれ契約を解除しにくいようにある一定のペナルティを与え、
安心して契約内容を実行できるようにした仕組みなのです。

しかし、ここで手付の額がいくらでもいいとなると問題があります。

民法では解約手付の額について、制限が実はありません。

これではいけないと思ったのか思わなかったのか、買主保護の見地から、
宅建業法で宅建業者は代金の10分の2を超える額の手付を
受領することができないとしました。

また10分の2を超える部分については無効となります。
買主に不利な特約をしても無効です。

手付金は代金の10分の2までです!要暗記です。

余談ですが手付金は、上限が決められていますが、下限は決められていません。
1円からでも手付金は設定できることになりますが、
ここが業者として頭が痛いとこです。

お金持ちのお客さんでしたら、何の問題はないのですが、
そうでないお客さんの場合、何千万もする物件に対し、
貯金がないから手付金1万円とか5万円とか言って来られます。

しょうがないのでこのまま契約してしまうと、契約後数日してから手付け解除!
よくある話です。

やはり解除しにくい額を設定することは、実務上は大切です。

ただあくまでも代金の10分の2の範囲の中です。

ちょっと余談が長すぎました、今お話したのは手付金だけのお話です。

中間金や内金についてはいくら受領しても構いません。(念のため)

4.瑕疵担保特約の制限

瑕疵とは、欠陥のことです。
瑕疵担保責任とは、欠陥の保証のことです。
瑕疵担保責任については、民法で詳しくやりますから
本日はさらっと説明しておきます。

民法における瑕疵担保責任の原則として、売買の目的物に「隠れたる瑕疵」
(=知らなかった欠陥)があった場合、売主は落ち度がなくても
責任を負うとしています。

そして善意無過失(=わる気もなく落ち度もない)の買主は、
損害賠償請求や(目的が達成できない場合は)契約解除ができるわけです。

このとき、売主への責任追及期間は、買主が瑕疵を知ったときから
1年以内とされています。
この買主が「瑕疵を知ったときから1年以内」というのを
チェックしておいてください。

これが原則です。

宅建業法では、この「買主が瑕疵を知ったときから1年以内」という規定が
少し厳し過ぎると見ています。

そこで宅建業法上「瑕疵担保責任の期間を、引渡しから2年以上とする」
ものについてのみ有効としています。

以下に具体的に書いていて見ました。

有効
・瑕疵担保責任の期間を、引渡しから2年とする
・瑕疵担保責任の期間を、引渡しから3年とする

無効
・瑕疵担保責任の期間を、引渡しから1年とする
・瑕疵担保責任の期間を、引渡しから半年とする
・瑕疵担保責任の期間を、契約締結から2年とする

不動産売買契約書は業者が売主の場合、瑕疵担保責任の期間を、
引渡しから2年とするが、ほとんどだと思います。
業者としては保証期間は短いに越したことはありませんからね。

但し、新築住宅の主要な部分の瑕疵に限っては、この特約はできません。
特約をしても、自動的に10年になります。
これは、H12.4から施行された「住宅の品質確保の促進等に関する法律」により、
全ての新築住宅は、10年の瑕疵担保期間が義務化されたからです。

5.損害賠償額の予定等の制限

宅建業者自ら売主となる売買契約において、
債務不履行を理由とする契約解除に伴う損害賠償額の予定または
違約金を定める場合、その額は合算して代金額の10分の2
超えてはなりません(10分の2を超える部分は無効)。

ここまでは、試験に必ず出題される箇所ですから
絶対に覚えておいてください。

以下お話しする、2つの制限については、
余裕が出てきたら覚える程度構いません。

6.割賦販売契約解除等の制限

割賦販売とは宅建業者への支払いを引渡後1年以上の
期間に2回以上に分割して支払うことを定めた売買契約を言います。
銀行ローンなどと違います。(勘違いしないように)

宅建業者自ら売主となる割賦販売契約において割賦金の支払いがない場合、
宅建業者は、30日以上の期間を定めて書面により支払いを催告し、
この期間内に支払いがないときでなければ、
契約の解除や残りの割賦金を請求することができません。

割賦販売契約を実務上使うことは、まずありませんから、
割賦販売契約ということばの意味ぐらい押さえておけば充分です。

しかし「30日以上の期間を定めて書面により支払いを催告し、
この期間内に支払いがないときでなければ、契約の解除や残りの
割賦金を請求することができません。」というところは

民法の契約解除のところでやりますので
「30日以上の期間を定めて書面により支払いを催告」という箇所は
ちょっと頭の片隅にでも残しておいてください。

7.所有権留保等の禁止

所有権留保とは、買主が代金の一定額以上を支払わないうちは、
売主が所有権を買主に移転させないことを言います。

車をローンで買ったとき、車検証の所有者の欄にディーラーやローン会社の
名前が入り使用者の欄に買主の名前が入ることがよくあります。
あれが所有権留保です。

宅建業法では、この所有権留保による売買契約を禁止し、
売主は引渡しまでに登記の移転等をしなければならないとしています。

ただ「宅建業者が受領した額が代金額の10分の3以下である場合」
宅建業者のリスクがあまりに大きいので所有権留保を認めています。

8.自己所有に属しない物件の契約締結の制限

自己所有に属しないとは、①他人物 ②未完成物件 を指します。

宅建業者は、自ら売主として自己所有に属しない物件の
売買契約を締結してはなりません。
これに違反すると監督処分として業務停止処分が待っています
(罰則はありません)。

しかしそれぞれに1つずつ例外があります。
この例外を覚えておいてください。

① 他人物の場合、宅建業者が物件を取得する契約(予約を含む)
締結した時など宅建業者のものになることが確実な場合
引掛けで、停止条件付売買契約を締結していれば、他人物売買できると言う
問題を見かけますが、答えは×です。
なぜなら、停止条件付が付いていると言うことは、条件が成就しないと
売買契約が成立しないと言う契約です。
確実」に宅建業者が、取得できるとは、言えませんよね。
ですから、停止条件付売買契約では、ダメのなです。

② 未完成物件の場合、手付金等の保全措置を講じた場合
(そもそも保全措置が不要となるケースでは、
保全措置を講じることなく契約を締結することができます。)

関連過去問      
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本日は、ここまでです
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10件のコメント

  • 絶対合格❗

    おはようございます。
    保全措置の件ですが、自ら売主が宅地を販売する際の保全措置は5%ですか?それとも10%ですか?

    • こんにちは、
      未完成物件の場合5%、完成物件の場合10%です。
      物件が宅地であれば、ほとんどが完成物件となりますが、
      まだ造成が終わっていないと言った宅地は、未完成物件となりますね。

      以上です。
      参考にしてください。

  • ブルゴンタ

    こんにちは。
    いつも拝見させていただいております。
    今年初受験、独学で挑戦している者です。
    ひとつ教えていただきたいことがあります。

    宅建業者自ら売主となる売買契約において、
    債務不履行を理由とする契約解除に伴う損害賠償額の予定または
    違約金を定める場合、その額は合算して代金額の10分の2を
    超えてはなりません(10分の2を超える部分は無効)。

    とありますが、「業者の違約金を代金額の10分の3とする」等の
    買主にとって有利な特約でも、10分の2を超える部分は無効となるのでしょうか?
    一般の買主・業者共に10分の2までという解釈でよいのでしょうか?

    ご指導をよろしくお願いします。

    • ご質問ありがとうございます。

      さて、ご指摘の事例については、正直、見たことも聞いたこともないため、わかりません。

      ただ、業法の趣旨から考えた場合、買主有利の特約ですから、有効な特約だと判断していいのではないかと考えます。

      以上です。
      正確な回答ができず、申し訳ございません。

  • ブルゴンタ

    ありがとうございます。

    ある問題集の回答では「無効」とされており
    私自身は「有効」ではないかと考えたため
    質問させていただきました。

    本試験も近づいてきましたので一層精進します。

  • ブルゴンタ

    お世話になります。たびたびで申し訳ありません。どうしても気になる箇所があり、わからないのでご指導をお願いします。

    自己の所有に属しない宅地又は建物の売買契約締結の制限の「例外」で、未完成物件で自己の所有で属しない場合であっても、手付金等の保全措置を講じていれば、自ら売主として契約することができる。

    についてですが、

    未完成物件の持ち主と宅建業者が売買契約(の予約)をしていなくても、この場合は手付金等の保全措置を講じていれば、業者でない買主と未完成物件について売買契約することができる、という意味でしょうか?

    教えてください。
    よろしくお願いします。

    • ご質問ありがとうございます。

      業法33条の2には、「ただし、次の各号の『いずれか』に該当する場合は、この限りでない。」とし、2号に、当該宅地又は建物の売買が未完成物件で、手付金等の保全措置が取られている場合となっています。

      と言うことは、ご指摘のとおり、未完成物件の持ち主と宅建業者が売買契約(の予約)をしていなくても、この場合は手付金等の保全措置を講じていれば、業者でない買主と未完成物件について売買契約することができると解釈できます。

      以上です。

      参考にしてください。

  • ブルゴンタ

    わかりました。
    ありがとうございます。

  • 道神

    手付けの保全について教えてください。

    手付けの保全は、引渡し後手付けを受領する場合は保全は不要になるのでしょうか?
    所有権移転登記をすれば、対抗要件が備わって2重譲渡されても勝てるから、
    保全は不要というのは分かるのですが、
    引渡し後、手付金を受領となると、
    そのお金は手付金ではないから、保全は不要になるのでしょうか?

    手付金・・・物件がまだ買主に引渡されない時点で買主が売主に交付する金銭である
    とテキストにはありました。

    • ご質問ありがとうございます。

      手付金等とは、宅建業法に代金の全部又は一部として授受される金銭及び手付金その他の名義をもって授受される金銭で代金に充当されるものであって、契約の締結の日以後当該宅地又は建物の引渡し前に支払われるものをいうとなっています。

      と言うことは、物件の引渡し後に支払われる金銭は、手付金等ではないとなりますから、保全措置は必要ないと考えます。

      以上です。
      参考にしてください。

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