宅建過去問【1997】 平成9年 問4 民法(消滅時効) 問題と解説

宅建過去問 H9 問4 民法(消滅時効) 問題

AがBに対して有する100万円の貸金債権の消滅時効に関する次の記述のうち、民法の規定及び判例によれば、正しいものはどれか。

  1. Aが弁済期を定めないで貸し付けた場合、Aの債権は、いつまでも時効によって消滅することはない。
  2. AB間に裁判上の和解が成立し、Bが1年後に100万円を支払うことになった場合、Aの債権の消滅時効期間は、和解成立の時から10年となる。
  3. Cが自己所有の不動産にAの債権の担保として抵当権を設定(物上保証)している場合、Cは、Aの債権の消滅時効を援用してAに抵当権の抹消を求めることができる。
  4. AがBの不動産に抵当権を有している場合に、Dがこの不動産に対して強制執行の手続を行ったときは、Aがその手続に債権の届出をしただけで、Aの債権の時効は中断する。



宅建過去問 H9 問4 民法(消滅時効) 解説

 

1. × 誤り

【問題】

AがBに対して有する100万円の貸金債権で、

Aが弁済期を定めないで貸し付けた場合、Aの債権は、いつまでも時効によって消滅することはない。

【解説】

いつまでも時効によって消滅することはないのでしたら、時効と言う制度をわざわざ作った意味がないと思いませんか? ここだけで読んでも、記述は誤りだと判断できます。

民法166条1項
消滅時効は、権利を行使することができる時から進行する

大事なことは、いつから消滅時効が進行するかです。
記述のように、弁済期を定めななかった場合は、債権が成立した時点より、消滅時効が進行し、弁済期を定めた場合は、その期限が到来した時点から、消滅時効が進行します。

 

2. × 誤り

【問題】

AがBに対して有する100万円の貸金債権で、

AB間に裁判上の和解が成立し、Bが1年後に100万円を支払うことになった場合、Aの債権の消滅時効期間は、和解成立の時から10年となる。

【解説】

和解だとか、時効の期間だとかは、この問題を難しく見せるためのものに過ぎません。宅建試験で、このような個所は訊いて来ないのです。

裁判所が仲介して、〇月〇日(和解より1年後)に100万円を支払うと言うことは、弁済期を、〇月〇日(和解より1年後)に定めたと言うことですね。

肢1で解説しましたが、弁済期を定めた場合は、その期限が到来 した時点から、消滅時効が進行すると言いました。つまり、〇月〇日(和解より1年後)から、消滅時効はスタートします。 従って、記述は誤りです。

 

3. 〇 正しい

【問題】

AがBに対して有する100万円の貸金債権で、

Cが自己所有の不動産にAの債権の担保として抵当権を設定(物上保証)している場合、Cは、Aの債権の消滅時効を援用してAに抵当権の抹消を求めることができる。

【解説】

Bが借金100万円を支払い、Aの債権がなくなった場合、Cの物上保証は、残りますか?消えますか? 簡単ですね^^

当然、物上保証も消えなくては、Aは、BからもCからも100万円を支払ってもらえることになっちゃいます。つまり、Cは、主たる債権が消滅したことにより、物上保証しなくてもいいと言う「利益を得た」ことになります。

これと同じで、Bの借金が消滅時効でなくなれば、Cの物上保証も当然になくなります。ただ、記述はそこを訊いているのではなく、主たる債務者Bが消滅時効を援用すのではなくて、物上保証人Cが援用してもいいのかという点です。

これについて、民法条文では、以下のようになっています。

民法145条
時効は、当事者が援用しなければ、裁判所がこれによって裁判をすることができない。

時効を援用するのは、「当事者」だとなっています。
では、この「当事者」とは、誰を指すのかになりますが、判例では、当事者とは、「時効により直接に利益を受ける者」としています。

前述しましたが、物上保証人はこの債権が消えると、物上保証が消えると言う利益を得る者です。ですから、物上保証人もこの当事者に含まれ、時効の援用ができるとなっているのです。 従って、記述は正しいとなります。

 

4. × 誤り

【問題】

AがBに対して有する100万円の貸金債権で、

AがBの不動産に抵当権を有している場合に、Dがこの不動産に対して強制執行の手続を行ったときは、Aがその手続に債権の届出をしただけで、Aの債権の時効は中断する。

【解説】

Aが、消滅時効の中断をしようとした場合、下記のどれかに該当しなくてはいけません。

民法147条
時効は、次に掲げる事由によって中断する。

  1. 請求
  2. 差押え、仮差押え又は仮処分
  3. 承認

さて、「債権の届出」が、請求に当たるでしょうか?
「債権の届出」と言うのは、債権額はいくらありますと裁判所に知らせるためのものです。この債権届出に従って、裁判所は競売物件の最低落札額や各債権者の配当を決める資料としているのです。「請求」に当たると考える方もいれば、当たらないと考える方もいると思います。
判例は、時効中断事由に当たらないとなっており、記述は、誤りだとなります。

ちなみに、わたしは当たるんじゃないかと考えていました。
理由として、「債権届出」は、裁判所から送られてくるものですが、債権の回収を諦めてる人は、届出をしなくてもいいとなっているものですから、届出をした人は、「請求」の意思を示しているのではないかと思ったのです・・・

判事から、そんな簡単な届出だけでは、時効の中断は認めないよと断じられてしまいました。この問題は、判例を知らないとまず解けないですね(悲)

 

以上より、解答はでした。 
関連過去問      
平成30年 問4 平成27年 問4 平成26年 問3 平成22年 問3
平成21年 問3 平成17年 問4 平成16年 問5 平成12年 問2
平成10年 問2 平成9年 問4 平成7年 問3 平成4年 問4

肢4の判例を知っている方は、かなりの方だと思います。この問題は間違っても仕方ないかなぁ~。
ただ、他の肢は押えておいてくださいよ、今後も出題される可能性大だと思います。

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平成9年(1997年)宅建試験 正解一覧

科目 解答 難易度 重要度
№1 民法(無権代理) 普通
№2 民法(共有)
№3 民法(必要費と留置権)
№4 民法(消滅時効)
№5 民法(債権譲渡)
№6 民法(物権変動) 普通
№7 民法(不当利得)
№8 民法(使用貸借)
№9 民法(委任)
№10 民法(遺留分)
№11 借地借家法(借地) 普通
№12 借地借家法(借家) 普通
№13 区分所有法 普通
№14 不動産登記法 普通
№15 不動産登記法
№16 国土利用計画法 法改正により解答できない
№17 都市計画法 普通
№18 都市計画法(開発許可)
№19 都市計画法(開発許可)
№20 宅地造成等規制法
№21 農地法
№22 土地区画整理法 4 普通
№23 建築基準法(防火・準防火地域)
№24 建築基準法(建築確認)
№25 建築基準法 普通
№26 固定資産税
№27 住宅ローン控除との重複適用 普通
№28 印紙税
№29 不動産鑑定評価基準
№30 宅建業法(従業者名簿)
№31 宅建業法(免許の可否)
№32 宅建業法(宅地建物取引士資格登録)
№33 宅建業法(混合問題)
№34 宅建業法(営業保証金) 普通
№35 宅建業法(保証協会)
№36 宅建業法(媒介契約)
№37 宅建業法(35条書面記載事項)
№38 宅建業法(信用の供与と重説)
№39 宅建業法(手付) 普通
№40 宅建業法(信用の供与と重要事項説明)
№41 宅建業法(瑕疵担保責任)
№42 宅建業法(案内所)
№43 宅建業法(広告)
№44 宅建業法(手付金等の保全措置) 普通
№45 宅建業法(他人物売買) 普通
№46 統計
№47 景品表示法 普通
№48 住宅金融公庫法
№49 建物の知識
№50 土地の知識

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