宅建過去問【1989年】 平成元年 問9 民法(危険負担・債務不履行) 問題と解説

宅建過去問 H1年 問9 民法(危険負担・債務不履行) 問題

A所有の家屋につき、Aを売主、Bを買主とする売買契約が成立した。この場合、民法の規定によれば、次の記述のうち正しいものはどれか。

  1. 家屋の所有権移転登記後、引渡し前に、その家屋が天災によって滅失した場合、Aは、Bに対し代金を請求することができない。
  2. 家屋の所有権移転登記後、引渡し前に、その家屋が放火によって半焼した場合、Bは、Aに対し代金の減額を請求することができる。
  3. 家屋の所有権移転登記後、引渡し前に、その家屋がAの失火によって焼失した場合、その契約は失効する。
  4. 家屋の所有権移転登記が完了し、引渡し期日が過ぎたのに、Aがその引渡しをしないでいたところ、その家屋が類焼によって滅失した場合、Bは、契約を解除することができる。



宅建過去問 H1年 問9 民法(危険負担・債務不履行) 解説

 

1. × 誤り

【問題】

A所有の家屋につき、Aを売主、Bを買主とする売買契約が成立した。

家屋の所有権移転登記後、引渡し前に、その家屋が天災によって滅失した場合、Aは、Bに対し代金を請求することができない。

【解説】

宅地・建物の取引の専門家になろうとしている方は、この問題は絶対に覚えておいてください。

一般的な常識で考えると天災による建物の滅失は、売主Aも買主Bもどちらにも責任がありません。にもかかわらず民法では、売主は引渡す家屋がないでも、何も悪くない買主Bは代金を支払えと言えるとなっています。

おかしな話だと誰でもそう思うはずですが、民法では、そのおかしな話をおかしくないとして、買主Bは代金を支払いなさいと規定しています。

理由については、ここでは省略しますが、以上から記述は誤りとなり、Aは、Bに対し代金を請求することができるとなります。

なお、実際の宅地・建物の取引においては、37条書面において、この民法の規定を否定し、売主は買主に代金を請求できないとする特約を入れることが一般的です。

民法534条1項
特定物に関する物権の設定又は移転を双務契約の目的とした場合において、その物が債務者の責めに帰することができない事由によって滅失し、又は損傷したときは、その滅失又は損傷は、債権者の負担に帰する。

 

2. × 誤り

【問題】

A所有の家屋につき、Aを売主、Bを買主とする売買契約が成立した。

家屋の所有権移転登記後、引渡し前に、その家屋が放火によって半焼した場合、Bは、Aに対し代金の減額を請求することができる。

【解説】

記述は、家屋が「放火」によって半焼したとなっています。
これ誰の責任でしょうか?
放火をした第三者の責任ですね。
つまり、売主Aも、買主Bも責任がありません。

肢1では、天災地変のような原因(ABともに責任がない)で引渡す家屋がなくなっても、売主Aは買主Bに対して代金を支払えと言えると解説しました。この問題においても、ABともに責任がなく、家屋が半壊していますから、話は同じです。全壊でも代金を支払えと言えるのですから、半壊だと言えないわけがありませんので、売主Aは買主Bに代金全額を請求できるとなります。

 

3. × 誤り

【問題】

A所有の家屋につき、Aを売主、Bを買主とする売買契約が成立した。

家屋の所有権移転登記後、引渡し前に、その家屋がAの失火によって焼失した場合、その契約は失効する。

【解説】

この事例は、肢1や肢2と違って、Aの失火によって焼失したとなっています。言い換えるとAのみに責任があると言うことです。

Aの責任によって、Bに家屋を引渡せないのですから、Aに責任を取ってくださいとBが言うのは当然だとなります。

従って、契約は失効すると言う記述は誤りとなります。

 

4. 〇 正しい

【問題】

A所有の家屋につき、Aを売主、Bを買主とする売買契約が成立した。

家屋の所有権移転登記が完了し、引渡し期日が過ぎたのに、Aがその引渡しをしないでいたところ、その家屋が類焼によって滅失した場合、Bは、契約を解除することができる。

【解説】

難しく考えず、単純に考えてみましょう。

Aは引渡しの義務を履行していません。
家屋が類焼によって滅失したのですから、Bの責任ではありません。
(類焼とは、他所で起こった火災が燃え移って焼けること)

と言うことは、Aに落ち度があり、Bには全く落ち度がないのですから、Bは契約を解除することもできると判断できます。

なお、Bは、損害賠償請求も行うことができます。

 

以上より、解答はでした。 
関連過去問      
平成19年 問10 平成8年 問11

危険負担の問題は、常識と違う規定となっており、少しややこしいです。ただ、次回の民法改正点でもあり、今後出題される可能性は低いと考えます。

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平成元年(1989年)宅建試験 正解一覧

科目 解答 難易度 重要度
№.2 民法(消滅時効) [icon image="star5-4"]
№.3 民法(意思表示) [icon image="star5-5"]
№.4 民法(売主の担保責任) [icon image="star5-5"]
№.5 民法(根抵当権) 普通 [icon image="star5-3"]
№.6 民法・借地借家法(建物賃貸借) [icon image="star5-5"]
№.7 民法(抵当権) [icon image="star5-4"]
№.8 民法(請負担保責任) 普通 [icon image="star5-3"]
№.9 民法(危険負担・債務不履行) 普通 [icon image="star5-2"]
№.10 民法(連帯債務) 普通 [icon image="star5-4"]
№.11 民法(相続) 普通 [icon image="star5-5"]
№.12 借地借家法(借地) 普通 [icon image="star5-5"]
№.13 借地借家法(借家) [icon image="star5-5"]
№.14 区分所有法 普通 [icon image="star5-3"]
№.15 不動産登記法 [icon image="star5-3"]
№.16 不動産登記法(区分所有建物) [icon image="star5-3"]
№.17 国土利用計画法(事前届出) [icon image="star5-2"]
№.18 都市計画法(開発許可) [icon image="star5-5"]
№.19 都市計画法(地区計画) [icon image="star5-4"]
№.20 建築基準法(建ぺい率) [icon image="star5-5"]
№.21 都市計画法(開発許可) [icon image="star5-4"]
№.22 建築基準法(防火地域,準防火地域) [icon image="star5-4"]
№.23 建築基準法(建築確認) [icon image="star5-5"]
№.25 宅地造成等規制法 [icon image="star5-4"]
№.26 土地区画整理法 [icon image="star5-4"]
№.35 宅建業法(宅建免許の要否) [icon image="star5-5"]
№.36 宅建業法(免許換えその他) [icon image="star5-5"]
№.37 宅建業法(宅建士) [icon image="star5-5"]
№.38 宅建業法(クーリングオフ) [icon image="star5-5"]
№.39 宅建業法(免許基準) [icon image="star5-5"]
№.40 宅建業法(宅建士証) [icon image="star5-5"]
№.41 宅建業法(登録基準) [icon image="star5-5"]
№.42 宅建業法(手付金等の保全措置) [icon image="star5-5"]
№.43 宅建業法(営業保証金) 普通 [icon image="star5-5"]
№.44 宅建業法(業者間取引) 普通 [icon image="star5-5"]
№.45 宅建業法(保証協会) 普通 [icon image="star5-5"]
№.46 宅建業法(専任媒介契約) [icon image="star5-5"]
№.47 宅建業法(重説の説明事項) [icon image="star5-5"]
№.48 宅建業法(8つの制限) [icon image="star5-5"]
№.49 宅建業法(監督処分) 普通 [icon image="star5-4"]
№.50 宅建業法(契約締結等の時期) [icon image="star5-3"]

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